枕の洗濯方法。素材別のお手入れと洗う頻度は?
枕の雑菌・汚れが、ニオイと頭皮トラブルの原因にもなる
枕が頭皮に触れる時間はおよそ1日の1/3。皮脂・汗の汚れの対処は必須
平均的な睡眠時間は、およそ7時間といわれています。1日の1/3は、枕と頭が接していることになります。ですが「汚れが気になるので枕は衣類の洗濯と同じように頻繁に洗っています」という習慣は一般的ではありません。
本当に枕はあまり汚れていないのでしょうか?入浴時のシャンプーやドライヤーなどでのお手入れ後に使用する枕は汚れにくいと思われがちです。しかし、汚れるスピードを遅らせることはできても、長い時間、頭をのせている枕は、頭皮の皮脂や汗を確実に吸収しているのも事実です。また、枕は日中、日の当たらないベッドの上や押入れの中にあることも多いため、ダニやカビの温床となっている場合が多いのです。
衛生面で考えれば、枕も毎日でも洗いたいところですが、なかなかそれは大変。ですが、できる範囲で定期的に洗うことをおすすめします。ある程度の手入れをしていても、異臭・シミ、汚れが目立つようであれば交換することも考えたほうが良いでしょう。
枕を清潔にしていることで、体臭を抑える、頭皮などの皮膚を雑菌から守る、さらには睡眠の質を向上させることが可能となります。
枕カバーは洗えても、枕本体が洗えるかどうかは判断に迷うところ。枕の素材別に洗える・洗えないなどを確認してみましょう。
枕は洗えるの?
「私が使っている枕は洗ってもいいんですか?」
その答えは“中身”によって異なります。最近では、枕の中身=充填材の種類は多種多様になっています。そこで皆さんが個人個人使用している枕……その充填材の素材が何なのか。そして、その素材は洗えるのか、洗えないのかをしっかりと確かめることが大切です。
洗える素材は「ポリエステルわた」「ビーズ」「パイプ」「羽根」
「ポリエステルわた」「ビーズ」「パイプ」「羽根」などは、洗える素材。
ご家庭で手洗い、洗濯していただける枕と判断できます(枕によって、または洗濯機の種類によっては洗濯できない場合がありますのでご注意ください)。
洗濯した枕は風通しの良い場所で自然乾燥させます。乾燥するまでに数日かかりますので、その間、交換できる枕をご用意いただくと良いでしょう。
洗えない素材は「そばがら」「低反発ウレタンフォーム」「羽毛」
洗えない素材は、「そばがら」「低反発ウレタンフォーム」「羽毛」などがあります。
洗えない場合でも対処する方法はあります。週に一度くらいの陰干しをおすすめします。洗えない素材は傷みやすいという性質を持っていますので、そばがら以外は天日干しよりは陰干しが良いでしょう。外の風に当てることで枕に溜まった湿気を取ることができ、カビ対策にも効果的です。外にこだわらず、風通しの良い窓際やベランダでも同様の効果が期待できます。干した後は、両側から軽く叩いて中身をほぐすようにしましょう。充填材によっては、洗えないけれどドライクリーニングが可能な素材もあります。枕に付いている洗濯表示をご確認ください。
素材別、枕の洗い方と注意事項
「羽根」「ポリエステルわた」の洗い方と失敗につながる注意事項
「羽根」(フェザー)は、週に一度くらいの陰干しを推奨しています。干した後は両側から軽く叩いて中の羽根をほぐすようにすると良いでしょう。ドライクリーニングも可能ですが、ご家庭で洗う場合は中性洗剤で押洗いをします。ですが洗濯によって素材の劣化を早めることがありますのでご注意ください。
「ポリエステルわた」については、時々でよいので日光乾燥を推奨しています。干した後は、枕の両側から軽く叩いて中のわたをほぐすようにし、素材の偏りがないようにします。ご家庭で洗う場合は中性洗剤での押洗いがおすすめ。脱水などで素材の偏りができやすいので、脱水後はしっかりとほぐして偏りを修正してから干すと良いでしょう。
「パイプ」の洗い方と失敗につながる注意事項
「パイプ」はポリエチレン素材。ご家庭での洗濯が可能です。洗濯機で洗う場合の注意事項は、洗濯ネットに入れて洗うこと、洗剤の量は少なめにすること。弱水流で洗うこと、などです。また、柔軟剤を使用すると素材間のすべりが良くなり、ほぐしやすく素材の偏りを修正するのもスムーズです。
枕を清潔に保つことは大切ですが、洗濯により素材の劣化が早まる場合があります。また素材によって程度は異なりますが、経年劣化によりへたってくることもあります。枕の高さなどに大きな変化が出てきた場合は枕の交換時期と考えてください。
洗濯以外の対処法
日常のお手入れは天日干し(素材によっては陰干し)がおすすめ
洗濯できる素材、できない素材について解説してきましたが、日常的なお手入れとしては、天日干し(素材によっては陰干し)がおすすめです。毎日使用している枕には、汗をはじめ室内の“湿気”が溜まってしまいがち。枕内に湿気が停滞することによって雑菌の発生や、カビがはびこる原因となります。
枕を頻繁に洗濯することは大変ですので、普段からニオイや湿気に注意を払い、ときどき天日干しすると良いでしょう。季節や天候によって天日干しすることが難しい場合などは、市販の除菌・消臭スプレーなどを使用するのも良いでしょう。いずれにしろ、快適な睡眠のために大切な枕ですので、ニオイや湿気をそのままにせず、こまめな対処を心がけましょう。
○年使ったら買い替えがベスト
枕を快適にご使用いただくために、メンテナンスや室内環境は大切です。しかし、どれだけ大切にお手入れしていても、経年劣化による枕の状態の変化は否めません。ご自身に適した枕の高さ、素材特有のメリットを生かし、快適にお使いいただくためには、素材を交換しなければならない時期があります。
素材によってその交換時期は異なりますが、高さがキープできない、すぐに偏りができてしまうなど、はっきりとした変化が見られるようになったら交換をおすすめします。
素材の違いによる交換時期の目安は、「ポリエステルわた」や「そばがら」は1〜2年。「羽根」「羽毛」「低反発ウレタンフォーム」などは2〜3年。「パイプ」などは4〜5年。あくまでも目安ですので、使用状況や枕素材の変化に注意して対処をしてください。快適な睡眠のために時期を見て買い替えすることをご検討ください。