知らず知らずのうちにあなたも!?首や肩が疲れやすい人は「スマホ首・ストレートネック」にご用心
私たちは日々の生活の中で、知らず知らずのうちに首を酷使しています。
パソコンに向かっているとき、猫背になっていませんか?
スマートフォン(以下、スマホ)を使うとき、うつむいたまま長い時間同じ姿勢でいませんか?
いずれも首には大きな負担になります。
頭の重さはスイカと同じ!首の骨(頚椎)のカーブが重い頭を支えている
人間の頭の重さは5kg~8kgもあり(だいたいボウリングの球や、大ぶりのスイカぐらいだとお考えください)首は効率的に重みを逃がし支えています。
本来、首の骨(頸椎)は前方に膨らんだゆるいカーブを描いています。これに胸椎、腰椎がつながっていますが、胸椎は逆に後方に膨らみ、その下に続く腰椎はまた前方に膨らんでいます。つまり首から腰までの一連の骨がくねくねとS字を描くことでバネのような役割を果たし、重い頭を支えているのです。
このカーブが崩れると身体の一部に負担がかかり、さまざまな不調を引き起こします。
特に最近話題になっているのが、「スマホ首」や「ストレートネック」と呼ばれる症状です。
スマホ首とストレートネック
うつむいてスマホを見ている間、頭の重量はすべて首にかかっています。この姿勢は、正しい姿勢のときに比べて、3倍もの負荷がかかるといわれています。
スマホを使う時間が長ければ長いほど、首の疲労はどんどん蓄積していくことなります。
そうした習慣が続けば、やがて首周りの筋肉がこり固まってしまいます。すると、頭痛や肩こりだけではなく、一見首とは無関係な不調を引き起こしてしまうのです。
たとえばめまいや自律神経失調症、冷え、多汗症、ドライアイ、胃腸の不調、ひどい場合には更年期障害やうつの症状などが現れる人もいます。
また、頸椎から腰椎が描くS字全体で支えるべき頭の重量を首だけで支え続けていると、関節が筋肉に引っ張られ続けて、本来あるべき首のカーブが失われてしまいます。
その状態を「ストレートネック」と呼びます。
かつては首周りの筋力が比較的弱い女性に多く見られましたが、最近男性にも増えてきているようです。
「ストレートネック」になると、頭を前方に突き出したような姿勢になるので、頭の重心が椎骨(頸椎~腰椎)の上からずれてしまいます。
すると、スマホを見ているときだけではなく、普段から首や肩の筋肉に負担がかかることになってより疲れやすくなり、ますます上に挙げたようなさまざまな不調を招きやすくなるのです。
スマホを使っているときのような首に負担をかける姿勢が「ストレートネック」の原因となり、それに伴う不調を引き起こすことから、こうした症状は「スマホ首」とも呼ばれています。
首をきちんと休ませてあげる
「スマホ首」を避けるためには、正しい姿勢で首に負担をかけないのが一番です。
しかし日々の暮らしをかえりみれば、デスクワークにしても家事にしても、うつむいた姿勢ですることがたくさんあります。
その間、私たちの首はずっと重い頭を支えてがんばっているのです。
私たちはただでさえ首に負担がかかりやすい生活をしているにもかかわらず、さらにデスクワークや家事の合間にスマホをチェック、では本人は休憩しているつもりでも首にとっては休まる暇がありません。
また電車などでの移動中にスマホを見るにしても、ずっとうつむいたままでいる人を見かけますが、これも首にはよくありません。
首が悲鳴をあげる前に、こまめに休ませてあげましょう。背筋を伸ばし、目線を上げて、電車の中だったら、車外の風景をしばし眺めてみてはいかかでしょうか。
また、ときにはストレッチで首周りの筋肉をほぐしてあげましょう。
首もとを温めてから行うとより効果的です。お風呂あがりに、あるいは温めたタオルを首に巻くなどして行うとよいでしょう。
睡眠時間は首を休める唯一の時間
首の休息には、睡眠も重要です。
1日のほとんどの時間、私たちの首は頭の重さを支えて過ごしています。
睡眠時間は、首が頭の重みから解放されて休める唯一の時間です。
睡眠時間は安静を保つ副交感神経が優位になる時間です。
首に疲労がたまってくると、この副交感神経のはたらきが低下します。するとなかなか寝つけなかったり、眠りが浅かったりすることがあります。
しかしたとえ眠れなくても横になり、首の筋肉をリラックスさせることが大事です。
寝つけないからといって、起き上がってスマホをのぞいたりしてはいけませんよ。
参考文献
「スマホ首」が自律神経を壊す(祥伝社新書)松井孝嘉
「スマホ症候群」に気をつけて!(双葉社)木津直昭
スマホ首があらゆる不調を引き起こす!(講談社)鄭信義