枕と睡眠の質の関係は?睡眠の質が変わる枕の選び方や睡眠の質を高める方法を解説

高級な枕を購入したのに、疲れが取れずスッキリしないという経験はありませんか?実は、枕は睡眠の深さや質に直接影響を与えています。自分の体型や寝姿勢に合った枕を使うことで、深い眠りの時間が増え、睡眠の質が向上することでしょう。
本記事では、枕が睡眠の質にどのように影響するのか、自分に合った枕の選び方、そして睡眠の質を高めるための方法を詳しく解説します。
そもそも睡眠の質とは
「睡眠の質」とは、単に長時間眠ることではなく、いかに深い眠りが得られているかを示す指標です。質の高い睡眠は、起床時の爽快感、日中の集中力維持、身体の疲労回復などに直結します。
睡眠の質を評価する要素としては、入眠にかかる時間、夜中の覚醒回数、深い眠りの継続時間、朝の目覚めの状態などが挙げられます。特に重要なのは深い眠りの割合で、この時間帯に身体の回復が最も進みます。
レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があり、それぞれが異なる役割を担っています。
〇 レム睡眠とは
レム睡眠(REM:Rapid Eye Movement)は、眼球が急速に動く状態で、脳が活発に活動している睡眠段階です。レム睡眠では夢を見ることが多く、脳波は起きているときに近い状態です。一方で、身体の筋肉はほぼ完全に緩んでいます。
レム睡眠には記憶の整理・定着や感情の処理といった重要な役割があり、創造性や問題解決能力の向上にも関わっています。
〇 ノンレム睡眠とは
ノンレム睡眠は、レム睡眠以外の睡眠状態を指し、脳の活動が低下して身体を休めている段階です。ステージ1と2は浅い眠り、ステージ3と4は深い眠り(徐波睡眠)と呼ばれています。深い眠りの時間帯には特に成長ホルモンが分泌され、身体の回復や組織の修復が活発に行われるのが特徴です。
さらに免疫機能の強化やエネルギーの回復といった重要な役割も担っており、質の高い睡眠に不可欠となっています。
〇 睡眠のサイクル
睡眠中、私たちの脳と身体はレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返しています。このサイクルは通常、1回あたり約90分で、一晩に4、5回繰り返されるのが一般的です。入眠後にノンレム睡眠のステージ1から始まり、徐々に深い眠り(ステージ3、4)へと移行し、その後浅い眠りに戻ってレム睡眠へと移行します。
特徴的なのは、睡眠の前半に深いノンレム睡眠の割合が多く、後半になるとレム睡眠の割合が増えていく点です。
睡眠のサイクルと睡眠の質を左右する「最初のノンレム睡眠」
睡眠サイクルのなかでも、入眠後最初に訪れるノンレム睡眠が、睡眠の質を大きく左右します。
〇 睡眠の質を左右する「最初のノンレム睡眠」
入眠後の最初の90分間に訪れる深いノンレム睡眠は「黄金の90分」とも呼ばれており、睡眠全体の質を決める重要な時間です。この時間には睡眠圧(眠気の蓄積)が最も多く解消され、脳と身体の回復プロセスが始まります。
最初のノンレム睡眠で充分な深い眠りが得られると、その後のサイクル全体の質が向上します。
〇 「最初のノンレム睡眠」の重要性
最初のノンレム睡眠では成長ホルモンが最も多く分泌され、細胞修復や代謝促進、免疫機能の強化など、身体の重要なメンテナンス機能が活性化します。また、脳の疲労回復や記憶の定着にも不可欠な役割を担っています。この時間帯の睡眠の質が低下すると、翌日の疲労感や集中力低下につながるでしょう。
枕と睡眠の質との関係
枕の役割は、頭と首の位置を適切に保ち、身体への負担を分散することにあります。自分の体型や寝姿勢に合った枕を使用すると、深い睡眠の時間が増加し、入眠もスムーズになるでしょう。
逆に、たとえ高級な枕であっても自分に合っていなければ、首や肩に余計な負担がかかり、睡眠の質は低下してしまいます。
〇 枕を変えることで睡眠の質が変わる
自分に合った枕に変えることで、睡眠の質は大きく向上します。具体的には、入眠直後の「黄金の90分」と呼ばれる時間における深い睡眠の割合が増加し、起床時の眠気減少や疲労回復感の向上といった主観的な内容も報告されています。
睡眠の質を上げる枕の選び方
価格や見た目ではなく、自分の身体に合った枕が睡眠の質を高める鍵となります。詳しく見ていきましょう。
〇 自分の体型に合った高さの枕を選ぶ
適切な高さの枕は、体型や睡眠姿勢によって個人差があります。仰向けで寝る場合は、首の自然なカーブが維持されて、頭が後ろに反りすぎず前にも傾きすぎない状態が理想的です。一方、横向きで寝る場合は、首から腰にかけて背骨のラインが一直線になるような高さが最適です。
体格によっても最適な高さは変わり、細身の方は比較的低め、標準体型の方は中程度、大柄な人はやや高めの枕が合うことが多いでしょう。
〇 首まで支えてくれる枕を選ぶ
理想的な枕は、仰向けで寝た時に頭から首にかけて隙間なくフィットし、自然な頸椎(けいつい)のカーブを維持できるものです。首がしっかりサポートされると、首や肩の負担が軽減され、朝のすっきり感が増します。
また、気道が確保されることで、いびきや睡眠時無呼吸症候群の予防にもつながる可能性があります。
〇 好みに合った素材の枕を選ぶ
枕の素材は、通気性・吸湿性・耐久性などに関係し、睡眠環境を左右します。おもな素材には、ポリエステルわた、パイプ、羽毛、ウレタン、マイクロファイバー、そばがらなどがあります。通気性を重視するなら、そばがらやパイプ素材が適しているでしょう。
フィット感を重視するなら低反発ウレタン、寝返りのしやすさを重視するなら高反発ウレタンが向いています。
〇 適度なかたさの枕を選ぶ
かための枕は頭をしっかり支え、寝返りが打ちやすい特徴がありますが、かたすぎると頭部への圧力が集中して頭痛や肩凝りの原因になるでしょう。一方、やわらかめの枕は包まれるようなフィット感がありますが、やわらかすぎると寝返りが打ちにくく、朝起きた時に身体の疲れがとれていない原因になる可能性があります。
感触は寝つきに作用するので枕専門店で試してみるといいでしょう。
〇 寝返りが打てるサイズの枕を選ぶ
質の高い睡眠には、無意識に行われる寝返りがスムーズに打てることが大切です。人は睡眠中に20~30回の寝返りを打つとされ、この自然な動きがスムーズに行えないと睡眠の質が低下します。
枕のサイズは、寝返りを打っても安定してサポートできるサイズが理想です。
枕以外で睡眠の質を高めるためにできること
枕だけでなく、生活習慣や睡眠環境も質の高い睡眠には欠かせません。以下で確認していきましょう。
〇 身体に合うマットレスを選ぶ
かたすぎるマットレスは身体の曲線に沿わず、肩や腰に過度な圧力がかかるため、血行不良や筋肉の緊張を引き起こします。一方、やわらかすぎると身体が沈み込んで背骨が歪み、腰痛の原因となることもあるでしょう。
マットレスは、体格や睡眠姿勢に合ったものを選ぶことが大切です。
〇 食生活に気を付ける
トリプトファンを含む食品(乳製品・大豆製品・卵・肉類・バナナなど)は、睡眠ホルモンであるメラトニンの生成を助けるため、朝食で摂取するのが理想的です。一方で、就寝前のカフェイン、アルコール、スパイシーな食べ物、加工肉は避けたほうがよいでしょう。
夕食は就寝3時間前までに済ませ、消化に負担をかけない食生活を心がけてください。
〇 就寝の2〜3時間前に入浴する
就寝の2〜3時間前に、38~40℃のぬるめのお湯に5~30分ほど浸かるのが理想的です。入浴により一時的に体温が約1℃上昇し、その後徐々に下がることで自然な眠気が促されます。体温の低下はメラトニン分泌を促進するため、入眠がスムーズになるでしょう。
入浴後は部屋の明かりを落とし、リラックスできる環境で過ごすことで、さらに睡眠の質を高められます。
〇 就寝前に温かい飲み物でリラックスする
温かい飲み物は身体を内側から温め、リラックス効果をもたらします。おすすめはカモミールやラベンダーなどのハーブティー、ホットミルク、ルイボスティーです。ホットミルクに含まれるトリプトファンは体内でセロトニンに変換され、睡眠を促す効果があります。
ハーブティーには鎮静作用があり、白湯も体温調節や消化機能をサポートしてくれるでしょう。
〇 心地よい寝室環境をつくる
メラトニン分泌を抑える光を避けるため、寝室は暗くし、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用は控えましょう。窓からの騒音や冷気が気になる場合は、ベッドを窓から離すとよいでしょう。
また、アロマディフューザーでラベンダーなどのリラックス効果のあるアロマオイルを使用すると、より心地よい睡眠環境が作れます。
〇 ベッドは睡眠専用の場所にする
質の高い睡眠のためには、ベッドを「眠るための場所」として脳に認識させることが重要です。ベッドでスマートフォンやテレビを見ると「活動する場所」という誤った学習をしてしまうため、ベッドでの活動は睡眠と休息だけに限定しましょう。
15分以上眠れない場合は、一度ベッドから離れて読書などの穏やかな活動をし、再び眠気を感じてから戻ることで、入眠がスムーズになります。
まとめ
枕と睡眠の質には密接な関係があり、自分の体型や寝姿勢に合った枕を選ぶことが大切です。質の高い睡眠のためには、枕の高さ、首のサポート力、素材、かたさ、大きさといった要素を総合的に考える必要があるでしょう。
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