ニュース

睡眠コラム

良い夢で新年を迎えよう──初夢と夢のお話

もういくつ寝るとお正月。今回は一年のはじめに見る夢、初夢に まつわるお話と、良い夢を見るためのコツをご紹介します。

■夢と初夢をめぐる歴史

眠りの中で見る夢は、不思議なものです。古くから現代にいたるまで、夢の不思議さは人の心を惹きつけてきました。2016 年に大ヒットした映画『君の名は。』が夢を軸にした物語であったことも記憶に新しいですね。

時をさかのぼり、いにしえの時代。日本では「夢は神仏に与えられるもの」と考えられてきました。夢は現世と異世界をつなぐ力を持つとされ、現代にまして大切なものと見なされていたのです。

初夢は、年始に見る夢から、一年の吉兆を占うものです。その風習は古く、平安末期に 生まれた歌人の西行は『山家集』の中で「年暮れぬ 春来るべしとは 思ひ寝の まさしく見えてかなふ初夢」と歌っています。数百年も昔、新年を迎えた人びとは、どんな初夢を授けられるだろうかとドキドキしながら眠りについたのかもしれません。

初夢はいつ見る夢?

初夢は「一年のはじめに見る夢」を指しますが、大晦日からお正月にかけて、いつ見る夢が初夢とされるのでしょうか。実はその解釈も時代によって変化してきました。

民俗学者の柳田国男によると、立春=正月だった室町時代には「節分の夜から立春にかけて見た夢」が初夢とされていたそうです。

その後、江戸時代に立春と正月が分離し、暦上の元日を一年の始まりと考えるようになると、解釈が「大晦日から元日」「元日から1月2日」「1月2日から3日」の3つに分かれました。主流だったのは「1月2日から3日」とするもの。当時、大晦日から元日にかけて眠らずに過ごす風習が広まり、さらに初商いや書初めといった多くの新年行事が1月2日に行われたことも理由と考えられています。

明治時代、改暦が行われた後は「元日から1月2日」という解釈が主流になりました。現代は「元日から1月3日の間に見た夢」とする緩やかな解釈も一般的です。

吉夢のおまじない

室町時代以降、初夢に吉夢を望む人びとが増えると、「枕の下に宝船の絵をしいて眠るとよい」とする風習が広まりました。もともとは、前年の悪夢を運ぶ単純な船の絵でしたが、やがて吉夢を運び入れる宝船に。七福神が乗ったもの、米俵を満載したもの、悪夢を食べるとされる動物の獏(ばく)を入れたものなど、浮世絵が盛んな時代になると、絵柄のバリエーションも豊かになっていきます。吉夢が見られた時は大切に保存し、そうでない場合は「縁起直し」として川に流したそうです。

長き夜の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音の良きかな
(なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな)

この不思議な詩は、吉夢を見るためのおまじない。上から読んでも下から読んでも同じ回文になっています。寝る前に三度唱えるとよいとされ、宝船の絵に添えられました。

年明けに「おたから、おたからー」と宝船の絵を売り歩くかけ声は、新春の風物詩として、昭和のはじめ頃まで耳にできたといわれています。

良い夢を見るには?

縁起のいい初夢といえば、「一富士、二鷹、三茄子」が有名ですが、現代に鷹やナスの夢を見るのはかなり難しそうです。ここでは、悪夢を遠ざけ、良い夢を見るための秘訣をご紹介します。

①夜更かしは控えてリラックス
真夜中、悩みごとについて考えれば考えるほど不安に……輝く朝日の中で思い返すと、なぜあんなにネガティブだったのだろうと不思議に思うことがありますね。睡眠が不足したり、睡眠の質が低下すると、ネガティブな情報に敏感になることが知られています。解消されないままの不安感や恐怖感は、眠りの中で悪夢となって追いかけくることも。なるべく夜更かしは控え、寝る前は早めにスマホやTVなどから離れて、清潔な寝具でリラックスして横になりましょう。ジャージのような身体が休まらない部屋着で就寝することはおすすめできません。

②身体を動かしてストレス発散
日中の適度な運動は、夜の眠りをぐっと深めてくれます。スポーツに限らず、家の大掃除や凛とした冬の空気の中を散歩するといった軽い運動でも効果は大。特に日の光を浴びながら身体を動かせば、自律神経のリズムが整えられ、眠りの質が高まります。
 快眠と深く関わる自律神経について

③寝酒は悪夢のもと
寝る前のアルコールは眠りを浅くし、悪夢を招く原因に。酔ったまま、トロトロと眠りに落ちるのは気持ちのよいものですが、たどり着いた先が悪夢ではたまりません。夜にお酒を楽しむ場合は、適量を守り、寝るまでの時間を空けてみてください。

④アロマテラピーを取り入れてみる
睡眠の質を高めてくれることでも知られるアロマテラピー。睡眠中によい香りをかぐことで快い夢を見たという実験結果が発表されています。快眠を助けるアロマとして有名なのは、ラベンダー、マジョラム、シダーウッドなど。アロマオイルを数滴染み込ませたハンカチやティッシュを枕元に置くのもいいですし、枕カバーの隅にアロマオイルを垂らす、またはアロマミストを吹きかけるのもおすすめです。
 香りの睡眠術

新しい2017年の幕開け。「今年はよい年になりそう」と思えるような、素敵な初夢が見られますように。

参考文献 西郷信綱(1993)『古代人と夢』平凡社

facebookでシェアする